いつの間にか、アイスが高くなっていた|値上げの夏に思うこと

その日の在宅の仕事をひととおり終えて、肩をぐるぐる回しながら立ち上がる。

外はまだ暑い。夕方になっても、全然涼しくならない日ってありますよね。

お風呂に入って、さっぱりして、それから冷凍庫を開けて、いつものアイスを一個食べる。これがこの時期の、私のささやかなご褒美でした。

「でした」と書いたのは、最近そのアイス一個を、前よりちょっとためらってから手に取るようになったから。

100円ちょっとの話のはずだったのに

少し前まで、100円ちょっとで買えていた気がするんですよ。

それがいつの間にか、130円、140円になっている。 一個だけなら、たいした差じゃありません。

でも、暑い日が続いて週に何回も買うとなると、その差はちゃんと積もっていきます。

一人で家計をやりくりしていると、大きな買い物よりも、こういう小さいものの積み重ねが月末に効いてくるんだなあと、この歳になってつくづく思います。

お昼ごはん、飲み物、冷凍食品、洗剤、トイレットペーパー。 ひとつずつは数十円の値上げでも、全部そろって上がると、月末の残高がいつもよりちょっと寂しい。

在宅の仕事のお金でやりくりしていると、その数十円のところで、

「今日はやめておこうかな」

が、増えてくるんですね。

アイスなんて、別になくても困らない。 ぜいたく品といえば、ぜいたく品です。

だからこそ、出費を削ろうと思ったとき、まっさきに「今日の一個」が候補に挙がってしまう。

暑い日のお楽しみを我慢する。 そんな小さな節約から始まるわけです。

たまたま見たニュース

そんなことをぼんやり考えていたタイミングで、テレビでニュースを見ました。

大手のアイスメーカーに価格カルテルの疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り検査に入った、という話でした。

最初は、

「えっ、アイスでカルテル?」

と、思わず声が出ました。

カルテルというのは、本当ならそれぞれの会社が別々に決めるはずの値段を、会社同士で話し合って合わせてしまうこと、らしいんですね。

「このくらい上げよう」 「この時期に上げよう」

と、もし会社同士で足並みをそろえていたとしたら、私たちが安く買える選択肢が減ってしまう。

そこが問題になる、ということみたいです。

難しいことは分からないけれど、なんとなく、

「ああ、そういうことか」

と腑に落ちました。

そもそも、なぜアイスは値上げしているの?

気になって、少し調べてみました。アイスメーカーが値上げの理由として挙げているのは、だいたい似たようなことでした。

牛乳や砂糖、果汁といった材料そのものの値段。 包む袋や容器の資材代。 工場を動かす電気やガス。 そして、お店まで運ぶための燃料代と、運んでくれる人の人件費。

トラックの運転手さんが足りない、という話も最近よく聞きますよね。

ひとつだけが上がったわけじゃなくて、ぜんぶが少しずつ、いっぺんに上がってしまった。だから、アイス一個ぶんに直すと、数十円の値上げになる。

そう聞くと、「そりゃあ、上がるよねえ」と、妙に納得してしまいました。

値上げそのものより、選べないのが困る

正直なところ、値上げそのものを責める気は、私はあまりありません。

さっき書いたように、いろんなコストがいっぺんに上がっているなら、お値段を上げないと会社だって続けていけない。そこはよく分かります。

ただ、このニュースでひとつ気づいたことがありました。

私はこれまで、「選べること」でなんとかやりくりしていたんだなあ、ということです。

高い日は安いカップアイスにする。 セールを待つ。 箱のアイスをまとめて買って、一個あたりを安くする。

その時々で逃げ道があったから、値上がりしていても生活の中でなんとか吸収できていました。

もし会社同士が裏でこっそり値段を合わせていたのだとしたら、その逃げ道がまとめて狭くなってしまいます。

こっちは表示された値札を見て、買うか買わないか決めるしかありません。

その値段が、ちゃんとした競争の中でついたものなのか。 そうじゃないのか。

台所をあずかる身としては、これってじわじわ効いてくる話だなあと思いました。

まだ「疑い」の段階だけれど

もちろん、今はまだ「疑い」の段階です。

検査が入ったからといって、違反が確定したわけではありません。 調べた結果、問題なしとなることだってあると思います。

そこを早とちりして、決めつけるのは違いますよね。

だから私にできるのは、これからどういう結論になるのか、ちゃんと見ておくことくらいです。

おわりに

ニュースを見たからといって、明日からアイスを買わなくなるわけではありません。

たぶん今日も暑かったら、私はまた一個買います。

ただ、次に冷凍ケースの前に立ったとき、値札の見方がほんの少し変わる気がするんです。

今までは、

「あら、高くなったわね」

で終わっていたところを、

「この値段って、どうやって決まっているのかしら」

と、一瞬だけ考える。

たったそれだけの変化だけど、何気なく買っていたものほど、裏側をちょっと知ると見え方が変わるんだなあと思いました。

この歳になっても、知らないことってまだまだたくさんあります。

それを「面倒くさい」じゃなくて、

「へえ、そうなんだ」

と受け取れるうちは、私もまだ大丈夫かな、なんて。

冷凍庫のアイスを片手に、そんなことを思った夜でした。

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この記事を書いた人

50代から在宅ワークに挑戦中。遠方で暮らす母のことをきっかけに働き方を見直しました。在宅ワークの体験や学んだことを発信しています。